貧困問題を知ってもらい、生きやすい社会をつくる!

いまさら言うまでもないことですが、〈もやい〉は、生活に困ってご相談に来た方や、アパートの保証人や緊急連絡先が必要な方に対し、その問題解決のお手伝いをしています。また社会の中で孤立せず、つながりのなかで安心して暮らしていけるために、サロンなどの居場所の開催や仕事づくりの活動もしています。
しかし、〈もやい〉が目指すのは、〈もやい〉につながった人だけの問題解決ではなく、日本の社会全体を、貧困も孤独もなく、差別も偏見もない、みんなが暮らしやすい社会にすることです。
そのための事業が「広報・啓発事業」。今年度は、その一環として、貧困問題を知ってもらうための講座を積極的に開催しています。
そもそも「貧困」ってどういうこと? 日本の貧困の現状はどうなっているの? 生活保護ってどんな制度? そんな素朴な疑問から、「貧困をなくすってどうやったらできるの?」という難しい疑問まで、ていねいにひも解くことで、知識を獲得するだけでなく、実際に自分も何かできるという気持ちになって帰ってほしいという思いで講座を開催しました。

貧困問題を「学ぶ・伝える」レクチャーセミナー

前号(※おもやい通信2016年秋号)でもお伝えしましたレクチャーセミナー。すでに茨城県日立市、愛媛県松山市、青森県青森市で開催を終えました。

2016年9月10日開催 in 茨城(共催:NPO 法人茨城居場所研究会)

講義では、貧困の定義や日本の貧困の現状について、多様なデータをもちいながら解説しました。さらに、子どもの貧困対策を例にとりながら、貧困は「個人の問題」か、「社会の問題」かという問題提起がなされました。
また、ワークショップでは「給食費の無料化」をテーマにディスカッションをしていただきました。

終了後のアンケートに「関心がある人への“ 伝える”方法が少しわかったような気がします」との回答があるのを発見し、手ごたえを感じることができました。

2016年10月9日開催 in 愛媛(共催:ホームレス支援を考える会 オープンハンドまつやま)

講義では、貧困についての解説に加え、愛媛県内の困窮者自立支援制度の実施状況についても概観しました。
また、6~7名ずつのグループで、「生活保護のお金でパチンコするのはいいの? ダメなの?」をテーマにディスカッションをしていただきました。
愛媛での開催では、62名の参加者のうち半数近くが学生さんでした。なかには高校生もいて、アンケートに「伝えることで貧困に対する偏見をなくしたい」と書いてくれました。私たち大人も、伝える工夫をもっともっとしていきたいと、改めて思いました。

2016年10月30日開催 in 青森(共催:レイプクライシス・ネットワーク)

青森の最低賃金は716円。フルタイムで働いても貧困ラインすれすれです。働いているけれども貧困という人
の現状に加え、生活保護という制度や、それをめぐる誤解や偏見についてもていねいに解説しました。
ワークショップでは、家族のあり方、行政の支援のあり方、税金の使い方などをテーマにグループで議論しました。

共催団体のレイプクライシス・ネットワークは、性暴力の問題やDV 等の問題、セクシャルマイノリティの人の支援に取り組む団体です。彼らの話からは、マイノリティの人が、より孤立し、困窮している実態、地方での支援の現状や課題などを実感させられました。

これだけは知っておきたい! 貧困問題基礎講座 2016

今年で3年目を迎えた貧困問題基礎講座。今年は10月22日・29日の2日間、パルシステム東京さんに会場をご提供いただき、約40名の参加者の方々とともに、学びを深めました。

参加者のみなさんの関心は非常に高く、講義では熱心にメモをとる姿が見られ、グループワークではみなさんが積極的に発言し、交流会でも時間いっぱいまで参加者同士で話し込み、さらに終了後のアンケート記入まで時間をかけてていねいに回答してくださっていました。
アンケートでは、「2日間の合宿で応用編をやってほしい」「自分の職場で講座を開いてみたい」「地域の活動につなげたい」「支援団体をつくりたい」など意欲満々の回答がたくさん見られ、心強く感じました。

ABOUTこの記事をかいた人

加藤歩

1974年生まれ。もやい事務局長・生活相談コーディネーター。出版社にて編集者勤務を経て、2010年より〈もやい〉に関わり始める。2014年より現職。