認定NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい

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もやいブログ

2017.4.18

おもやいオンライン

【おもやい通信2017春号より】地域資源などを考えるプロジェクト(仮)を立ち上げました!

火曜入居支援の一日

火曜の朝は緊張する。週に一度の面談日。予約表をチェックすることから一日が始まる。今日いらっしゃる予定の方の名前を確認し、保証料、結びの会費、立替払い、すでにご相談をいただいていたかどうかを調べる。

入居支援の仕事に就いて1年半、ボランティア時代を含めると〈もやい〉に来て5年近くになったが、まだ名前を見てもお顔がはっきり思い浮かばない方が圧倒的だ。
不甲斐ない……。
ミーティング後、11時半より面談が始まる。入居支援の面談は、

  1. 福祉事務所からのアパート転宅OK が出てアパートを探す方、
  2. 連帯保証人の契約に来られる方、
  3. 契約更新手続きにに来られる方、
  4. 緊急連絡先の手続きに来られる方、
  5. その他

の五とおりがある。ばらつきはあるが午前に2、3人、午後に8人近くおいでになるときが多いだろうか。その間、交代で昼食をとる。けっこう忙しい。

「元気に暮らしています!」といわれたり、笑顔で近況を報告されたりすることも多い。どちらかというと切羽詰った相談が多い「生活相談」とは違う「入居支援」の特徴である。そんなお話を伺ったときはとても嬉しい。他方で、「アパートを出ていってくれといわれて…」「仕事がクビになりまして…」という深刻な内容もあり、然るべく対応に追われることになる。

最近の入居支援の傾向

一体〈もやい〉はいつから保証人の引き受けをすることになったのだろう。『貧困待ったなし!―とっちらかりの10年間』(もやい・編 岩波書店)の裏の年表を見ると、2002年3月には「年度末までに保証人提供が100件を超える」とある。その頃から15年間、〈もやい〉は途切れることなく多くの方の連帯保証人となってきた。現在、連帯保証人を引き受けている方は約650人、緊急連絡先を引き
受けている方は約380人。

先日、入居支援のもう一人の〈もやい〉スタッフの土田さんが、〈もやい〉が保証人を引き受けている方の年齢別一覧を作ってくれた( この人はいつもこういうことを軽やかにこなす)。これによると、65歳以上の方が約半数を占めることが明らかになった。〈もやい〉とともにもやい結びの会の会員さんも一日一日年をとっている( 保証人や緊急連絡先の引き受けはもやい結びの会の会員となることが前提となっている)。
最近の話。更新においでになった方となかなか会話が続かない。かなりお耳も遠いようだ。その後、近くまで行く用事があったので、立ち寄ってみた。お部屋の荷物がかなり多く生活しづらいというご本人の訴えを受けて、ご本人の了解のもと、CW に連絡して区の清掃事業の手
続きを進めていただくことになった。
また、70代とはいえまだまだお元気なのに、大家さんから「アパートを畳むので次の更新には出ていってほしい」といわれ、CW に相談したら、「その年では貸してくれるところはないだろうから老人ホームに入ったら。」といわれたというご相談があった。どちらもご高齢の方に
多い問題である。

『地域生活などを考えるプロジェクト』(仮)を立ち上げました!

もともと〈もやい〉は、人間関係の結び直しを目的に、サロンなどの居場所事業を大切にしてきた。それは今日も変わることはないが、他方で、広域にわたり保証人を引き受けているため、遠方だったり足腰が弱ったりしてなかなか〈もやい〉までは来られない方が地域で孤立しておられるのではないかと案じていた。自分からSOS をあげることができない方、どうしていいかわからないまま日々過ごしている方に対し、ご本人のお気持を大切にしながら〈もやい〉らしい「アウトリーチ」の方法はないものだろうか。
たとえば耳の遠い方、ヘルパーを必要としている方には、福祉事務所や地域包括支援センターと連携し必要とあればご本人の同意のうえ制度に繫ぐ。立ち退きを迫られた方には、アパート探しを手伝う。このようなことをボランティアさんや当事者の方の力を借りてできないかと考えていた。

そのような考えから、『地域生活などを考えるプロジェクト』(仮)をたちあげた。これは、生活相談・入居相談の枠に縛られることなく、その延長線上として、リスクや課題はもちろんあるがまずは議論して、準備して、できることがあれば半歩でもいいからやってみようというものである。

生活相談内部でも、継続して相談に来られる方などで、なかなか信頼できる地域の資源に結びつかない方がおり、どうしたらよいかという課題が出されていた。その対策として、ボランティアさんらの協力も得ながら、地域のNPO や民間支援団体、社会福祉協議会や医療従事者などの地域資源といわば「顔の見える関係」を構築できないかという課題が出されていた。生活相談担当の〈もやい〉スタッフの加藤さんの言葉を借りれば「団体と団体の繫がりをつくるだけではなく、その団体のなかでもとくに理解や共感をもってくれる『個人』との信頼関係を作る」という視点である。
とはいっても、まだまだ課題は山積している。しかし、少しずつできるところから実行していければと思っている。
この記事を見て、たとえば、「うちの近所にはこんなユニークな団体があるよ」「こんなすてきな居場所があるよ」等の情報がありましたらぜひお寄せください。お待ちしています!(武笠優子)

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