生活保護制度

生活保護制度とは

生活保護制度とは、住まいや生活、医療や介護など、必要最低限の費用をまかなうための公的な制度です。
生活に困ったときは、誰でも・いつでも・どこに住んでいても、過去のことや生活に困った理由に関係なく、自由に申請できます。

8種類の扶助

生活保護には、毎月の家賃や生活費などに加えて、薬や入院、教育にかかる費用などを補うための、合計8種類の扶助があります。

【生活】 【住宅】 【医療】 【教育】 【介護】 【出産】 【生業】 【葬祭】

※その他、状況に応じて「一時扶助」などがあります。

利用の要件

  • 収入が生活保護基準より少ない
  • 資産を活用しても生活できない
  • 働けない・働く場がない
  • 年金や手当など、他の制度を使っても生活保護基準に満たない

「親族による扶養」 は要件とされていません。

保護基準について

生活保護の基準額は、申請した方の年齢や世帯構成、お住まいの地域により異なります。
それぞれ、国が定めた一律の保護基準をもとに算出されます。
年金などの収入が他にある場合は、ご自身の保護基準額からそれらの収入額を引いた差額を受給できます。
詳しくはお近くの福祉事務所までお問い合わせください。

計算例
(例1)

50歳男性 単身世帯の場合(東京都23区)
生活扶助 80,160円
住宅扶助 ~53,700円
保護基準額は ⇒~133,860円

 

(例2)

50歳女性 単身世帯の場合(岩手県大船渡市)
生活扶助 64,780円
住宅扶助 ~25,000円
保護基準額は ⇒~89,780円

 

(例3)

50歳男性+50歳女性+子ども一人4歳 複数人世帯の場合(東京都23区)
生活扶助 158,380円
住宅扶助 ~69,800円
保護基準額は ⇒~228,180円

 

(例4)

50歳男性+50歳女性+子ども一人 複数人世帯の場合(岩手県大船渡市)
生活扶助 129,910円
住宅扶助 ~33,000円
保護基準額は ⇒~162,910円

※通常の扶助に加えて、「障害者加算」「母子加算」など各種加算があります。
※また、「冬季加算」といって冬の寒さをしのぐために保護費が加算されます。支給月は地域によって変わります。

生活保護を利用するには

生活保護は憲法で保障された権利ですが、自分の意思で「申請」しなければ原則として、利用することができません。
また、生活保護は、「世帯単位」が基本であり、この場合、世帯とは「一緒に居住していて、生計を一にしている」関係性を言います。
※血縁関係・婚姻関係になくても(事実婚・同性婚など)実態として世帯が同じであれば、一つの世帯とみなされます。

申請から決定までの流れ

①申請(申請日)

福祉事務所の窓口で、「生活保護申請書」を提出します。

②面談(申請日~数日後)

健康状態や生活歴、職歴などの聞き取りがおこなわれます。

③調査(申請日~数日後)

担当ケースワーカーによる訪問や、資産等の調査がおこなわれます。

④決定(申請日~原則14日以内) ※最長30日以内

開始の場合⇒申請日にさかのぼって保護費が支給されます。
却下の場合⇒却下の理由が書かれた「保護却下決定通知書」をもらいましょう。(それをもって「不服審査請求」ができます。)

どこに申請する?

住まいがない(住所不定)の場合

路上、ネットカフェ、サウナ、ドヤ・ホテル、ゲストハウス
現在いる地域の福祉事務所で申請します。

住まいがある場合

持家、賃貸アパート、寮、仮設 住宅
現在実際に住んでいる自治体の福祉事務所で申請します。

申請書を書こう!

申請書一式の4点セット
  • 生活保護申請書(生活保護申請の意思表示)
  • 資産申告書(資産状況を申告)
  • 収入・無収入申告書(直近3カ月の収入の状況を申告)
  • 一時金申請書(アパートに住むための初期費用等の申請書)
持参するとよいもの ※必須ではありません。
  • 賃貸借契約書
  • 通帳
  • 印鑑
  • 本人確認書類(運転免許証、健康保険証など)
  • 収入がわかるもの(給与明細、年金証書など)

住まいがない状態で申請したとき (住所不定のとき)

申請したその日から、一時的な宿泊場所に泊まったり、公的・民間の施設に入所したりすることができます。「一時金申請書」を提出して、アパートの初期費用等を申請することも可能です。また、申請時に所持金が少ない場合は、貸付を受けることができます。

申請後の宿泊先

公的な施設

更生・救護施設。
障害や疾病のある方などが入所。個室~大部屋まで。門限あり。満室による待機が多い。
就労・生活支援員などが常駐しサポート。食費などを除くと、自由に使える生活保護費は、月に約1万~3万円。

民間の施設

無料定額宿泊所など。
宿泊と食事(一日2~3食)。個室~大部屋。利用料は約7万円~11万円。掃除当番などあり。
衛生状態・居住環境はおおむね悪い。
門限あり。寮長あり。

ゲストハウス、ドヤなど

月/週払い等の宿泊所
宿泊のみ。月や週払い。個室。衛生状態・居住 環境はおおむね悪い。風呂なしが多い。手元に現金(生活扶助)が残るので自分でやりくりできる。

ネットカフェ、サウナなど

日/時間払い等
宿泊のみ。時間単位。1泊1,500円~2,200円。延長料金が発生する場合も。プライバシーがなく、大きな荷物は置けない。手元に現金(生活扶助)が残るので自分でやりくりできる。

居宅保護の原則

生活保護は、自分の家やアパートに住みながら利用することが原則です(生活保護法第30条)。
住まいがない人は、物件を自分で探し、アパートで暮らす権利があります。
施設への入所は、原則として「施設でないと生活できない場合」に限られます。福祉事務所は、本人に対して、施設保護を強要することはできません。

一時金の申請(住まいがない方の転宅費用)

自分の住まいがない場合、引越しにかかる初期費用(一時扶助)などを申請することができます。
申請に必要なもの:一時金申請書+物件の見積書
⇒申請日から原則30日以内に、福祉事務所が判断します。

■決定の場合→アパートの入居手続きをすすめる。
■却下の場合→却下の理由が書かれた「却下決定通知書」をもらいましょう

※却下されても再申請は可能です。理由を確認し、不服であれば不服審査請求をしましょう。

どんな物件?

申請した地域により、家賃(住宅扶助)の上限額が定められています。
家賃(住宅扶助)上限:東京都23区・単身の場合→毎月 ~53.700円
※家賃の実費のみ。管理共益費は含まれません。

■一時扶助に含まれる費用
(東京都23区→279.200円まで)
敷金 礼金 仲介手数料 保証料 火災保険料

 

■一時扶助に含まれない費用(※自治体によって、別の制度で支給される場合もあり)
鍵交換代 クリーニング代 光熱水費その他

 

■住宅扶助から支給される費用
当月家賃、前家賃

 

住まいがある状態で申請したとき

申請後、決定まで自分の居宅で申請結果を待ちます(ケースワーカーの家庭訪問 もあり)。
生活保護の開始決定後も、そのまま同じ住まいに住み続けられます。
※家賃が基準をこえている場合、受給決定後、転宅するよう指導される可能性があります。

住宅扶助は実費分(上限額あり)

住宅扶助は、上限額までの「実費分」が支給されます。(管理共益費は含まれません)
(例)東京都23区・単身⇒上限53,700円/月
家賃30,000円のアパートに住んでいる場合⇒住宅扶助は30,000円
※安い家賃のアパートに住んでいても、上限額との「差額」を受給できるわけではありません。

資産と借金の扱い

持ち家や土地、車の所有について

活用可能な資産については、原則として売却することが求められますが、たとえば「自分が住むために必要な家である」「生活維持のため車が必要である」などの状況が認められると、これらの資産を所有しながらの生活保護の利用が可能になる可能性があります。

資産の例:住宅、土地、田畑、生命保険、自動車、バイク、貴金属など
※生活保護を利用開始してから、将来的にその資産を換金し、支給された保護費を返還する場合もあります。
借金の扱いについて

借金があっても、生活保護は利用できます。
借金の返済についてなどは、法律家に相談しましょう。

注意したいこと

収入があった場合

生活保護は、生活保護基準に足りない分のサポートを受けるものなので、給与や仕送りなどの収入があった場合は必ず申告します。(収入申告)
収入申告後に、就労収入などの場合は「基礎控除」分が差し引かれた金額が収入認定され、生活保護費が決まります。(収入申告)

(例1)50歳単身男性・収入なし(東京都23区)
月の収入=生活保護費 ~133,860円

 

(例2)50歳単身男性・就労収入10万円(東京都23区)
(収入申告10万円→基礎控除額23,600円、収入認定額75,120円)
月の収入=生活保護費(保護基準-収入認定額=~55,120円)
+就労収入(10万円)=~155,120円
※結果的に「基礎控除」分、収入が増えます。

 

却下・廃止について

「申請の却下」「保護の廃止」は福祉事務所が判断します。
その際、福祉事務所は、本人に対し却下理由・廃止理由を明記した「却下通知書」「廃止決定通知書」を文書で渡す義務があります。申請者・利用者は、それをもって「不服審査請求」ができます。

取り下げ、辞退について

本人の意思があれば、いつでも「申請の取り下げ」「保護の辞退」をすることができます。
申請を「取り下げる」と「自分の意思で手続きを止める」ことになり、「保護を辞退」すると「自分の意思で(開始後・利用中の)保護を打ち切る」ことになります。
いずれも、本人の意思で行うものです。福祉事務所に「取り下げなさい」、「辞退することになっている」などと言われても、従う必要はありません。

生活保護が廃止になる状況

  • 収入が生活保護基準をこえる(就労収入が増えた、年金支給が開始されたなど)
  • 失踪した場合(連絡が取れなくなるなど行方不明になった場合)
  • 自分の意志で辞退した場合(あくまで「自分の意思」で辞退した場合のみ。辞退届を「書かされる」ことはあってはなりません。)
  • 指導指示違反(「指導指示」は必要最小限度であり、本人の意思に反して強制し得るものではありません。)

就職活動について

健康状態や生活の事情により、働ける人であれば就職活動をする必要があります。
しかし、本人の努力だけで就職できるわけではないので、福祉事務所から就職活動を求められることはありますが、就職できないことを理由に生活保護を即座に廃止されることはありません。

「水際作戦」について

福祉事務所の窓口に生活保護の申請に行くと、「水際作戦」と呼ばれる、違法な追い返しや窓口対応がおこなわれることがあります。

  • 「若くて健康な人・働ける人は、生活保護を受けられません。」
  • 「必要な書類をそろえて来てください。」
  • 「住所がない人・住民票が別の自治体にある人は申請できません。」
  • 「過去に保護を受けていたのでダメです。」
  • 「申請してもどうせ却下されますから無駄です。」
  • 「借金があると生活保護を受けられません。」

これらはすべて、典型的な「水際作戦」です。
法律的な根拠のない違法な対応として、厚労省もつうちにより禁止しています。

生活保護は、これらの事情にかかわらず、生活に困ったときは、誰でも・いつでも・どこに住んでいても、過去のことや生活に困った理由に関係なく、自由に申請できる公的な制度です。
どのような場合でも「申請」する権利は、法律によって保障されています。
また、国会答弁などによれば、口頭での生活保護申請も可能であると認められています。

窓口でどんな事を言われても、「申請します」と伝えましょう。
それでもお困りの時は、もやいか、相談先リストを参考にご相談ください。

「扶養義務」について

民法では、家族や親族が経済的に助け合うこと(扶養義務)が定められています。しかし、親族による扶養は生活保護の要件ではありません。親子や兄弟姉妹など、民法上の扶養義務者がいたとしても、実際には金銭的援助をしてくれない場合、あるいは援助をしてくれても生活保護基準に満たない場合には、生活保護を利用することができます。
生活保護を申請すると、福祉事務所が申請者の家族・親族に「○○さんを援助できますか」と確認の連絡(扶養照会)をしますが、援助する・しないは家族の事情で決めてよいとされています。
※DVや虐待の被害等がある場合は、家族に居場所を知られないよう、扶養照会を止めてもらうことができます。