記者会見をおこないました

3月13日、厚生労働省記者会において「ホームレスをテーマにした報道」についての記者会見をおこないました。
おこなったのは〈もやい〉からは僕(大西)、NNNドキュメント「ネットカフェ難民」のディレクターであった上智大学教授・水島宏明さん、「あしがらさん」などの作品で知られる映画監督・飯田基晴さん、ノンフィクションライターでホームレス問題の授業作り全国ネット代表理事の北村年子さん。

ここに至ったのは、1月30日のTBS「白熱ライブビビット」において、ホームレスをテーマにした特集が報道されたことが発端でした。
この番組内では、河川敷に住むホームレスの男性Aさんについて取り上げていましたが、同特集内ではAさんのことを「犬男爵」「人間の皮を被った化け物」と呼び悪趣味なイラストと共に紹介していたほか、全編にわたってホームレス生活をしているAさんについて「迷惑行為者である」と一方的に断罪するようなスタンスや過剰な演出が見られたのです。

この放送内容について、会見に同席した水島さんが問題点を指摘する記事を書き、また僕も関連した記事を書きました。

■MXと似てる?TBS「ビビット」もヘイト放送!(水島宏明)
https://news.yahoo.co.jp/byline/mizushimahiroaki/20170202-00067273/

■TBS「ビビット」のみなさまへ 悪意のある放送はホームレスの人を危険にさらすので、やめてください(大西連)
https://news.yahoo.co.jp/byline/ohnishiren/20170206-00067398/

これらの指摘を受け、TBS「白熱ライブビビット」は3月3日に同番組内において不適切な表現があったこと、取材内容に問題があったことを謝罪しました。また、番組ホームページ上でもお詫びと再発防止について、言及した文章を掲載しました。(現在は削除されていますが……)

現在は削除されている謝罪文

迅速な謝罪は大きなこと。だが……

TBS「白熱ライブビビット」の指摘後の対応は、番組内で問題点を認め、迅速に謝罪をし、再発防止に取り組むことを表明しており、このこと自体はとても大きなことであると考えています。

しかしながら、もともとの放送内容であるホームレスの人への差別や偏見を助長するようなひどい内容は、とても許されるものではありません。
さらにこのAさんは、TBSの他番組や他局の番組内でも何度か取り上げられており、そこでの表現・取材方法も同様に問題が多いことがわかっています。

3月13日の記者会見では、これらについて明らかにすると同時に、ホームレスの人を取り巻く生活環境や、彼らが日々さらされている差別や偏見、誤解を受けやすい彼らの生活状況について説明をおこないました。そうして当事者や支援団体と協力しながら、面白おかしくホームレス問題を取り上げるのではなく、地域で起きている課題、社会問題のひとつとして認識した上での丁寧な取材・誠実な表現を踏まえた番組作りを要望しました。

今回、ネットメディアでは、今回の記者会見の模様が記事となっていましたが、

■TBS「ホームレス報道」問題、水島教授「バラエティに仕立て、何の意味があるのか」(弁護士ドットコムNews)
https://www.bengo4.com/internet/n_5837/

残念ながら、テレビ・新聞などの大手メディアでは、あまり大きく取り上げられることはありませんでした。
内部研修などの再発防止策を表明したTBS「白熱ライブビビット」のみならず、他番組や他局・他の媒体メディアでも、このような問題に誠実に取り組んでいただけるとことを願っています。

増えた「貧困報道」に隠れてしまったもの

貧困問題の報道は、この数年でとても増えました。
実際にそういった報道の力が、社会に対する貧困の可視化やホームレス対策、生活困窮者・子どもの貧困対策など、さまざまな施策の実現に繋がっているとはいえるでしょう。

しかしながら近年、その取り上げられ方が、少し極端な事例を紹介したり、センセーショナルな描き方をすることが多いと感じています。
貧困問題・ホームレス問題について、「絵になる」「笑える」「泣ける」などといった切り口で報道されることが多く、それは必ずしも問題解決の一助にはならないのではないでしょうか?

多くのメディアのみなさまには是非真摯かつ誠実に、貧困やホームレスの問題の解決に繋がるような番組作りをしていただけたらと願っています。

ABOUTこの記事をかいた人

大西連

1987年東京生まれ。 認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長、新宿ごはんプラス共同代表。ホームレス状態の方、生活困窮された方への相談支援に携わっています。また、生活保護や社会保障削減などの問題について、現場からの声を発信したり、政策提言しています。