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もやいブログ

2017.6.27

おもやいオンライン

【おもやい通信2017年夏号】『 先生、貧困ってなんですか?― 日本の貧困問題レクチャーブック』絶賛発売中!

このたび〈もやい〉では、5年ぶりの新刊本を出版しました。出版を記念してイベントも開催しましたので、ご報告いたします。

出版の経緯

〈もやい〉が2014年3月に作成し、ウェブにも公開している冊子『これで研修・授業・講座ができる! 貧困問題レクチャーマニュアル(以下、レクチャーマニュアル)』が目に留まったということで、出版社(合同出版)から連絡があったのは、2015年8月末のことでした。

「中高の先生方に積極的に活用してほしい」「より実体的に教育現場に届くよう書籍化して、とくに図書館などに置いてもらうかたちにできないかと考えている」と、この冊子のよりいっそうの普及のために、書籍として出版してはとのご提案をいただきました。

『レクチャーマニュアル』との違い

その後、1年半という時間をかけて、ようやく出版にこぎつけました。
なぜそれほどの時間がかかったのかというと、大西さんの筆が遅かったから……ではなくて(いや、それも一因か?)、書籍化するにあたり、『レクチャーマニュアル』の内容に大幅に加筆し、また全体をとおしてデータのアップデートを行ったためです。

一読すれば「貧困問題」が誰でもわかる! 『先生、貧困ってなんですか?――日本の貧困問題レクチャーブック』が発売!

『レクチャーマニュアル』は全10章で構成されていましたが、書籍の『先生、貧困ってなんですか?』では、12章構成となっています。高齢者の貧困に関する章を追加したほか、これまで同じ章にまとめていたセクシャリティやジェンダーの章と障がい者に関する章を2つの章にわけて、内容をさらに充実させました。
また、「やってみよう」「みんなで話そう」などワークを倍近くに増やし、より授業や勉強会などが盛り上がり、理解が深まるようなお題をたくさん盛り込んでいます。

さらにデザイン面でも、判型は手に取りやすいB5判になって、より見やすく使いやすくなるようレイアウトを工夫しています。

そして、装丁! 漫画家の柏木ハルコさんにカバーイラストを描いていただきました。ご存じの方も多いと思いますが、柏木さんといえば『健康で文化的な最低限度の生活』という生活保護をテーマにした漫画を連載中。〈もやい〉にも全巻とりそろえて置かせていただいており、サロンのお客さんなどにも大好評です。

「貧困」と聞くと暗い、硬い、とっつきにくいイメージがありますが、柏木さんのイラストのおかげでとても手に取りやすい雰囲気の本になりました。

出版記念イベント報告

4月12日(水)、書籍の出版を記念して、合同出版主催のイベントが開催されました。

最初に加藤より『先生、貧困ってなんですか?』が生まれるまでの背景や経緯についてお話ししました。その後、「貧困を描く/ 書く」をテーマに、柏木さんともやい理事長・大西によるトークセッションが行われました。

どうして生活保護を題材に作品を描こうと思ったのか? どんなことに気をつけて取材をしていたか?「 扶養照会」「不正受給」など作品で扱われているテーマをどのように決めたのか? どんな反響があったか? など、話は多岐にわたりました。

柏木さんは〈もやい〉でも生活相談のボランティアをしてくださっていたのですが、そのときのエピソードとして、
「生活保護開始後に、入った施設からすぐ失踪してしまう相談者に対して、説教臭いことを言ってしまったことがありました。そのときに、もやいスタッフの一人が、『ほんとうは東京で暮らすのが辛いんじゃないですか?』とその方の気持ちを汲み取って声をかけたんです。そしたらその方は、それまで語らなかった来歴や心情を語り始めた。相談って、結局コミュニケーションなんですよね」
という話をしてくれたのが印象に残っています。

トークセッションのあとは、〈もやい〉期待の新人スタッフ結城が、レクチャーブックの使い方について紹介しました。レクチャーブックを使って授業や勉強会をやる際に、どんなところが講義のポイントか、さらに知識を深めるための小ネタ、グループワークを盛り上げるための工夫などについて、ていねいに説明しました。

イベント終了後は、柏木さんや大西のサインを求めて、本をご購入くださった方が長い列を作っていました。

まだまだ生まれたての本ですが、一人でも多くの方に手に取っていただいて、みなさんで大きく育てていただきたいと思っています。

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