認定NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい

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もやいブログ

2022.4.22

お知らせ入居支援事業

入居支援の一年

 〈もやい〉に入職し、アパートの連帯保証人や緊急連絡先の引き受け事業を担当して1年が経ちました。この間、新たに連帯保証人を引き受けたのが14世帯、緊急連絡先は170人。連帯保証人をしている方は、継続中を含めて442世帯になります。最近の面談での様子をご報告します。

コロナ禍での面談で

 新規契約や更新手続きの際に近況を伺うと、コロナ禍で仕事を失った、収入が激減した、という声はやはり多く聞かれます。とくに年齢が高くなると再就職が非常に難しく、生活保護を利用して最低限の生活は保たれているとしても、体が動くうちは働き続けたかったと悔しそうに語る方が何人もいらっしゃいました。

 コロナの蔓延で来所が難しくなり、郵送で手続きすることも増えました。手続き自体は郵送でも可能ですが、もともと人づきあいが多くない方ですと、ますます人と会う機会が減るのは心配です。折り入って電話して相談するほどではないが気になっていること、は、どなたも抱えているものです。たとえ〈もやい〉で解決できなくても、「聴いてもらえただけですっきりした」「愚痴を言えてよかった」と、少しだけ表情を明るくして帰って行かれる方は少なくありません。「ちょっとした相談」ができないことでのフラストレーションを、多くの方が感じているのではないかと思います。来所が難しい方は、こんなことで電話していいのかな、と溜め込まず、気軽にお電話をいただけたらと思います。

 保証人をしている方でこの一年で亡くなられた方も、連絡があっただけで15人近くいらっしゃいます。なかには死後数か月経って発見された方も何人か。生活保護を利用している場合、定期的に福祉事務所の担当ケースワーカーが訪問することになっていますが、この2年はコロナで訪問がかなり減っています。友人知人も、最近様子を見ないからといって、気軽に住まいを訪れるのははばかられる状況です。早く発見できれば助かったかどうかはわかりません。ネットやSNSになじみがない年代で、電話も持たない方も多く、コロナ禍での「つながり」づくりや維持はいまだに大きな課題です。

緊急連絡先はアパートでも就職先でも

 緊急連絡先の提供はアパートの賃貸借契約を想定していますが、就職先に提出するために必要という依頼も増えています。過去の件数との比較はできませんが、「今まで不要だったのに急に必要になった」「採用の条件に加わったと言われた」という話をひんぱんに聞きます。〈もやい〉とつながって、これでアパートの審査に進める、就職の可能性が生まれる、とほっとした表情を見られるのはうれしい反面、連絡先は家族に限る、という家賃保証会社や企業も少なくないのが現実です。そうなると、〈もやい〉から提供できるものは今のところありません。ほかの支援団体や福祉事務所、民生委員などにすでに依頼したが断られた、あるいはそうした方の連絡先でもダメだと言われた、これ以上どうしたらいいのか、という悲痛な声は多く寄せられます。

 ひとり暮らしのためのインフラはますます整えられ、自立を求められていながら、家族というつながりがない人にとっては、家も仕事も得るのがますます難しくなってさえいるように感じます。

 〈もやい〉は、貧困問題を社会的に解決することをモットーとした団体です。こうした問題を、どんな方法なら社会的に解決できるのか。現実を知るほどに難しく感じることも多いのですが、渦中にいることでかえって見えないこともあるかもしれません。ぜひ、みなさんの知恵を貸してください。(伊藤)

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