認定NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい

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もやいブログ

2016.11.28

お知らせ政策提言・オピニオン

誰もが弱者になりうるからこそ実態を伴った施策を。「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法延長についての要望書」に団体賛同

認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい( https://www.npomoyai.or.jp/ 以下〈もやい〉)は、NPO法人ホームレス支援全国ネットワーク( http://www.homeless-net.org/ )が呼びかける「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法延長についての要望書」(http://www.homeless-net.org/docs/20161121_houenchou_youbousho.doc )に団体賛同いたしました。
これは2002年に時限立法として施行され、まもなく期限切れを迎える「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」(以下、ホームレス自立支援法)の延長を政府に対し求めるものです。

●「ホームレス自立支援法」が果たしてきた役割

そもそもこの「ホームレス自立支援法」は、2002年8月に施行された当時、社会問題化していたホームレス(野宿者)の人々への支援について、国の責任を認め、予算を講じ、緊急支援・就労支援・福祉施策との連携・住宅施策などを含めた総合的な支援パッケージを初めて構築したものでした。
このホームレス自立支援法により、多くのホームレスの人々が実際に支援を受け、アパート生活に移行できるようになった他、全国各地において民間の支援団体の活動が広がり、同時に地方自治体等との連携も盛んになりました。

一方で、自立支援法が定義する「ホームレス」は、あくまで2002年当時の「いわゆる野宿の人」にとどまっています。ですが実際には特に2000年代中盤以降、ネットカフェやファーストフード店等で寝泊まりしたり、友人知人宅を転々とする「ホームレス状態」の人が増加し、支援の方法や目指すべき方向性についても急速に変化しつつあります。

とはいえ、この法律は初めて国によるホームレス数の調査の実施・実現や、国の基本方針の策定、都道府県にホームレス対策の計画策定義務を課すなど、行政側に対して法的な拘束力をもち、さまざまな関連施策を実施させる大きな原動力となりました。

●「ホームレス自立支援法」が期限切れしてしまうことの「意味」

そのような大きな成果を出したホームレス自立支援法ですが、残念ながら期間の定めがある時限立法として制定されており、現在のところ政府は2017年以降延長の意思はありません。
その背景には、2015年4月に「生活困窮者自立支援法」が施行され、これまでホームレス自立支援法が担ってきたホームレス対策の各事業が、この新制度に継承されたと(政府は)考えているからです。

しかし、ここには大きな問題があります。新しい「生活困窮者自立支援法」には「ホームレス自立支援法」には存在した、ホームレスに関する調査・国の基本方針の策定・都道府県に課していた計画策定義務等が含まれていないのです。
つまりこのままだと、支援施策としての本来の趣旨である国の責任でホームレス数を調査し、予算を講じ、計画を策定するというプロセスが、ごっそり抜け落ち、消滅してしまうことを意味しています。

●誰もが弱者になりうるからこそ実態を伴った施策を

私達は、必ずしも現行のホームレス自立支援法が完璧な法律であるとは思っておりません。この間の社会的・経済的変化に伴い、その内容が変化していくことは望ましいと考えています。
しかし一方で、今このタイミングで本法律がなくなってしまうことは、本法律に依拠した調査結果をもとにした提言やパブリックコメントを届けることが不可能になることを意味し、実際の支援の現場にいる人々の声を施策に反映するための法的根拠がなくなってしまうことを意味しています。
それは、日本の生活困窮者支援の一端を担ってきたホームレス支援施策に対して、とても大きな負の影響を及ぼすと考えます。

以上の理由から、私達は今回「ホームレス支援全国ネットワーク」( http://www.homeless-net.org/ )の呼びかけに応じ、団体賛同をおこなうことを決定いたしました。
もちろん、本法律の延長にとどまらず、ひとりひとりの状況に合わせた生活困窮者支援の施策をこれからも求めていきたいと考えています。

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