〈もやい〉シェルター事業の これまでとこれから

これまで―事業開始の背景

これまでにもホームページに掲載されたブログ記事などを通して、
〈もやい〉がシェルター事業を開始したことをお伝えしてまいりましたが、
今回のおもやい通信では事業のこれまでとこれからについてご紹介したいと思います。

〈もやい〉では長年シェルターの運営は行ってきませんでしたが、
今年の9月よりシェルター事業を開始しました。
この背景には、従来からある生活保護制度の運用をめぐる問題と、
春先からの新型コロナウイルスの感染拡大の影響(以下、コロナ禍)の問題があります。
コロナ禍以前から、居宅をもたない状態の人が生活保護を申請するとき、
とりわけ関東の都市部ではなんらかの施設に入ることを
事実上強制されてしまうという問題がありました。
制度を利用している方にとっても利用しやすい施設も一部にはありますが、
十分にプライバシーが確保されない居室(複数人部屋ないし「簡易」的な個室)であったり、
生活上のさまざまな制約がある施設もあります。

アパートに入居するまでの間、ある種の「我慢」を強いられなくてはならない状況は
〈もやい〉を含む多くの支援団体が問題視してきたことです。
こうしたことから、アパートに入居するまでの間一時的な居所が
(現実的に)必要であったとしても、制度利用者が安心して生活できる場であることが求められます。
加えて、今般のコロナ禍ではこれまで以上に多くの方が生活に困り、
お住まいを失ってきています。さらに、感染症対策という観点からも施設利用は
望ましいことであるとは言えません。
つまり、安全のためにも、個室のシェルターの必要性は高まっています。
以上のように、従来からある問題とコロナ禍で新たに浮上した問題とを背景として、
今回〈もやい〉はシェルター事業の開始に踏み切りました。

シェルター利用者の声

11月頭の時点ですでに4名の方がシェルターを利用しており、
うち1名はすでにアパートへの入居が決まっています。
その1人、Aさん(30代女性)にシェルターを利用しての感想をお伺いしましたので、
その声をご紹介したいと思います。

*  *  *  *

―シェルターを利用されてそれまでの生活ととくに何が変わったと思いますか?
Aさん:私は家族との関係があまりよくなくて、
自立することを考えていったんシェルターを利用させてもらったんですが、
家族と距離をおいて、気持ちを落ち着けることができたかな、と思います。

―なるほど。家族と距離をおくことができたと。
シェルター自体の環境は実際生活してみてどうでしたか?
Aさん:そうですね。家具とかがそろっていて、
入ってすぐに生活できる状態だったのは助かりました。駅やスーパーも近くて便利でした。

―同じ建物の他の入居者さんとトラブルとかは?
Aさん:とくに問題なく。

―何か、こういうのがあったらもっといいのに、みたいなところはありましたか?
Aさん:うーん。他のシェルターを知らないのですが、
不便に感じるところはとくになかったです。

*  *  *  *

Aさんはすでにアパートへの入居が決まり、今後の生活に向けて動き出しています。
Aさんのように、家族との関係が悪いために独立して生活をしたくとも
難しいという方がいたとき、現在は家を出た状態でなんらかの施設に入ることを
余儀なくされることがしばしばあります。しかし、こうしたシェルターがあることによって、
そうした経験をしなくともアパートに入居することが可能になります。
もっともっとこうした場所がどこでも利用できるようになることが必要ではないかと思います。

これからについて

〈もやい〉はこうしたシェルターがどこでも誰でも利用できるように、
行政が責任をもって対応すべきと考えています。
一方で、それは今すぐ実現するわけではありません。
行政を説得し動かすためにも、
〈もやい〉では来年からシェルターを増室していくことを予定しています。
今後ともご支援・ご協力を賜ることができれば幸いです。(結城)

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