【連載】生活を支えるためのお役立ち情報(保存版)〜第1回 生活保護制度の要件〜

 生活相談・支援事業の結城です。

 今号から、「生活を支えるためのお役立ち情報」というシリーズを定期的に掲載いたします。
これは、現に生活に困っている人や、身近に困っている人がいるときに
実際に活用できる知識をお伝えするためのものです。
生活保護制度に関連するものが多くなると思いますが、
適宜それ以外の制度などについても紹介できればと考えています。

 第1回は、基本である生活保護制度の要件(利用条件)についてご紹介します。
最後にクイズも載せていますので、よろしければご覧ください。

生活保護はどんなときに利用できるのか?

 生活保護制度は、1950年に制定された生活保護法に基づく公的扶助制度であり、
憲法第25条に規定された生存権を保障するための具体的な仕組みです。
生活に困っている人であれば、仕事や住まい、借金の有無に関係なく利用できます。

 生活保護制度の要件は生活保護法第4条第1項に定められており、具体的には次の通りです。

①世帯収入が「最低生活費」よりも少ないこと
②資産(貯金、家、土地、車等)を活用しても生活できないこと
③稼働能力を活用していること
④「その他あらゆるもの」を使っても「最低生活費」に満たないこと

 ①についてですが、生活保護制度は「世帯」を単位としており、
世帯の人数や年齢、地域によって「最低生活費」が決められています。
世帯全体の収入が最低生活費よりも少ないことが重要な要件の1つとなります*1

 ②の資産については、高く売れる資産を持っている場合には、
それを売って生活費にあてる必要があります。
ただし、条件次第で保有が認められる場合があります。
また、仮に資産があってもすぐには処分できない場合には
ひとまず生活保護制度を利用することができます*2

 ③について、働くことができる場合には働くことが求められます。
しかし、いくら本人に働く能力があっても、現に仕事が無く
生活に困っていれば生活保護制度を利用できます*3

 ④の「その他あらゆるもの」というのは文字通りすべてのものではなく、
本人が行動すれば今すぐに手に入るような資産のことを指します。
そのため、本人が努力してもどうしようもないものは
「その他あらゆるもの」には含まれません*4

 もしもこれらの条件を満たしていても生活保護の申請をさせてくれない、
却下されてしまうという場合は「水際作戦」の疑いがあります。
そうしたときには〈もやい〉やその他の支援団体へ
相談することをおすすめいたします。(結城)

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*1 例えば東京23区で50歳代単身世帯の場合、住宅扶助は上限5万3700円、生活扶助は約7万〜8万円弱となっています。他に医療扶助なども加味されます。また、「世帯」というのは実態として生計が同じくしているかどうかという観点から判断されます。ただし、知人宅等に一時的に滞在している場合には同一世帯とは見なされません。

*2 すぐに処分できない資産がある場合、保護を適用したのち、処分できたら保護費を返すということができます(生活保護法第4条第3項、第63条)。なので、例えば「車があるから申請できない」と役所に言われたら、それは明らかに誤りです。

*3  「働くことができる」というのは、健康状態などのその人自身の条件だけではなく、働く場があるかどうかということや働く意思も考慮されます。

*4 厚生労働省は「その他あらゆるもの」について、「現実には資産となっていないが、要保護者本人が努力(手続き等)をすることによって容易に資産となり得るもの」という言い方をしています(生活保護手帳別冊問答集)。具体的には、受給権がすでにあり、手続きすればすぐに受け取れる年金などがあれば、この手続きをするように求められます。また、生活保護を利用し始めてから、使える制度についてはその利用を求められることになります(例:障害年金、自立支援医療制度)。

Quiz.

生活保護の要件と関連して、よく問題になるのが親族による「扶養」です。
では、もし生活保護を申請しようとしたときに、福祉事務所の職員から
「同居していない親族から扶養を受けてからでないと生活保護を利用できない」
と言われたとしたら、それは正しいでしょうか? 

→正解と解説は次号にて。

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