〈もやい〉の活動は個人からのご寄附に支えられています。
今年はどんな変化があったのか、ご支援を受けて維持される活動は何をめざすのか。
担当者が話し合いました。
(進行・構成=編集部)

—私たちは毎週土曜日に都庁下で、「新宿ごはんプラス」と一緒に相談会を開き、600人近い方に食品をお配りしています。その現場で寄附を手渡しされる方もいるそうですね。

松下 2カ月に1度くらいやってきて、「相変わらず大変だね」みたいな感じで現金を寄附してくださる方がいて、顔見知りになっています。私たちの地道な活動をちゃんと見てくれている人がいるんだな、ということを感じますね。

加藤 あの都庁下の様子を見て、「何だろう?」と思わない人はたぶんいないでしょう。寄附ではなくても、「お手伝いできることはありますか?」と聞かれることもあります。

—ありがたいことですね。

●小泉 幸子

小泉 ただ、9月末あたりから寄附の件数は一気に少なくなりました。10月からいろんな商品が値上がりするという報道があった頃からです。〈もやい〉に寄附してくださる方は個人の方が多く、ご自身の生活に物価高の影響が出てきているような気がします。

松下 〈もやい〉を応援してくれる方たちも家計を引き締めていらっしゃるはずです。それは仕方ないかもしれません。これだけ先が見えなくて、円安も進んで……。

小泉 いいニュースがないし、不安だらけ。年金の支給額も下がるし、寄附してくださる方にも影響が出ていると思います。

加藤 以前は「自分も派遣で働いていて、いつどうなるか分からない。だからこそ、〈もやい〉を応援します」と言って1000円を寄附してくださるような方もいました。でも、この状況ではそういうことも厳しいかな。

信用あっての遺贈(遺産寄附)

—遺言書で寄附先を指定する「遺贈」はどんな状況ですか?

松下 この夏、遺贈が1件ありました。もともと継続的に寄附をされていた方が、遺言書で遺産の一部を「〈もやい〉へ」と指定してくださっていたんです。建物を売却したお金を寄附する、という手続きにしていただいたので助かりました。

小泉 ずいぶん前の話になりますが、たしか一番最初に遺贈してくださった方は〈もやい〉のことを知らなかったそうです。遺産の寄附先について相談を受けた信託銀行の担当者が〈もやい〉を推薦してくれたんです。

松下 いまは遺贈も相続財産のご寄附も、すでに何回も寄附してくださっている方が〈もやい〉を選んでくださっているケースが多いようです。コロナ禍の報道を通じて、活動を知っていただく機会が増えていることも関係あるかもしれません。

—遺贈ってすごいことですよね。自分がいなくなったあとの社会を少しでも良くしてね、というメッセージが託されているわけですから。

松下 そういう評価を頂けるのは、〈もやい〉が20年以上、堅実に活動してきたからかもしれません。

加藤 本当はもっと積極的に、「遺贈を受け入れています!」とお伝えしたほうがいいとは思ってはいるんです。でも、そこに労力を割く余裕がなくて……。

小泉 〈もやい〉は認定NPO法人としての信用があると思うので、選んでいただいているような気がします。

松下 やはり日々の活動と情報発信が大事なんでしょうね。

加藤 いまの情報発信のやり方でいいのかな、というのは常に感じているんです。例えば〈もやい〉を知らない人がホームページを見たら、たぶん何をやっている団体かよく分からないと思うんじゃないかな。いまのホームページには課題があるのは確かです。
何をやっている団体で、どんなことが相談できるかという発信はすごく大事。それは相談者向けではあるけど、同時に、寄附してくださる方たちに向けた発信にもなるはずです。

—活動の本質的なところをはっきり伝える必要がありそうですね。

加藤 もしかしたら、寄附してくださる方のなかには「自分が支援した団体が一人の人間をどう助けることができたのか」みたいなストーリーを知りたい方がおられるかもしれません。
ただ、相談者をめぐるストーリーって、「こんなに頑張っているのに不運だった人が、私たちの活動によって助かりました」みたいな話になりがちでしょう? そうじゃなくて、生きるうえでの権利が侵害されているのなら、私たちはちゃんと権利を取り戻したい。そのために全力でやっているわけです。

松下 もちろん、ある一人の方に対するサポートがうまくいくことは大事ですけど、それを「仕組み化」して政策提言までもっていかないと、世の中は変わりません。それぞれの相談者を大切にしつつ、もっと俯瞰して問題の本質を考える。それぞれの相談を踏まえたうえで、その先を見据える。そういう支援を、〈もやい〉は大切にしていますよね。

●松下 千夏

問題を「社会的に」解決するために

—とはいえ、〈もやい〉を応援する方たちは、ご自身の寄附がどのように役に立っているのか具体的に知りたいはずです。

加藤 例えば今年から、大量の食品を保管するための倉庫を借りることができました。この倉庫の家賃、そして人件費は大きい。今後ますますボランティアの人数も必要になりますが、それだけ経費もかかります。ボランティア自体は無償ですが、交通費などの実費はお渡ししているんです。

●加藤 歩

松下 なにしろ都庁下の活動は、600人近い方たちを対象とするまでに大きくなっています。食品は企業やフードバンクなどからの寄贈がほとんどですけど、それ以外にお金がかかります。活動に関わってくれる人が増えるということは、それに紐づいた経費も増えるということです。

小泉 そのほかにもシェルターの運営費も大きいし、住まいや食事のことで困っている方を緊急的に支えるために必要な経費もあります。

加藤 スタッフも足りません!

松下 先が見えない時代だし、何か大きな変化が起きる可能性もあるので、いまのうち備えないと。ここで一度立ち止まって、いままでの事業をブラッシュアップする必要があるかもしれません。

加藤 目の前のことに追われてきましたからね。〈もやい〉のミッションは「貧困問題を社会的に解決する」。こんなご時世ですから、いまこそ「社会的に」変えるということについて考えていかないといけませんね。

松下 どうすれば社会は変わっていくのか、みたいなところも真剣に考えながら活動を進めるときだと思います。

小泉 いま社会を変えないと、これから本当に大変なことになりそうですからね。

〈もやい〉では1回ごとのご寄附のほか、
「マンスリー寄附サポーター」としての継続的なご支援もお願いしています。
〈もやい〉の寄付ページ(https://www.npomoyai.or. jp/kifu)をご覧ください。
 遺贈については法律の専門家におつなぎすることもできますので、
お気軽にご相談いただければ幸いです。

もやいへのご支援のお願い

生活にお困りになり〈もやい〉ご相談にこられる方々。その中でも、現在お仕事をされているにも関わらず困窮される方も増え続けています。 貧困問題に立ち向かう〈もやい〉を、寄附という形で応援していただけませんか?