コロナ禍は終わったのか?
今年の初めに新型コロナウイルスがメディアで大きく取り上げられるようになって以来、
私たちの生活は大きく変わってきました。
サービス業を含む広範な産業が新型コロナウイルスの影響を直接・間接に受けたことが、
リーマン・ショックの時とは違う特徴と言えるかもしれません。
4月から5月にかけて不安定な雇用状態にあった多くの人が仕事を失い、住まいを失いました。
最近では新型コロナウイルスと貧困というテーマは
一時期にくらべてなりを潜めたようにも見えます。
しかしながら、もやいの活動に訪れる人の数は、ピーク時に比べては減少したといっても、
依然として例年より多い状態が続いています。4月から10月末までに、
面談の相談に訪れた方は実人員で400人を越えており、
相談数は例年の1.5倍を超えるペースとなっています。
電話相談やメール相談もここ数年より明らかに増えており、
これまでになく多様な方が日本全国からご相談されています。
年末の危機
コロナ禍がリーマン・ショックの時ほどは生活困窮者の急激な増加をもたらしていないのは、
ある意味ではリーマン・ショック後に設置されたいわゆる第二のセーフティネットが
ある程度機能しているからではないか、との見方もあります。
実際、住居確保給付金や生活福祉資金の申請・支給決定件数は例年の数十倍にも上っており、
また雇用調整助成金も非常に多くの事業所が利用しています。
これは、要件の緩和なども含む特例措置がなされたためであり、
この点は評価すべきことであるかもしれません。
しかしながら、こうした制度を利用しても、
経済状況が改善しない限り、就労による生活の再建は困難です。
そして残念ながら経済状況は元通りになっているとはいえず、
もやいにもこれらの支援を受けていたものの困窮して生活保護を申請したい、
という相談がみられるようになってきています。
今後、これらの特例措置がどの程度延長されるのかはまだ見通しがたっておらず、
場合によっては数万、数十万単位の方が生活保護制度を使わなければ
生きていくことすら困難な状況になるかもしれません。
とりわけ、年末年始はただでさえ仕事が減る時期ですし、
さらに行政の窓口も基本的には閉まってしまい支援につながりにくくなります。
そのため、年末年始にかけて、生活にお困りの方が
急激に増えるのではないかと危惧しています。
これから私たちがやりたいこと
年末年始にかけて多くの方が生活にお困りになることが予想されるため、
もやいでは12月29日(火)に事務所にて、
また1月2日(土)に新宿都庁下にて相談会を開催します。
当座の食料や住まいがない方には食料品や生活用品といった物資をお渡しするほか、
緊急の宿泊費用をお渡しします。
宿泊場所についてはこのほかに、ビジネスホテル等の部屋を借り上げて、
シェルターとしてご利用いただくことも検討しています。
さらに、2日間の相談日の間にはオンラインフォームなどを活用して
緊急の相談を受ける体制を設けたいと考えております。
また、〈もやい〉では9月より株式会社レジデンストーキョーさんの協力のもと
シェルター事業を開始していますが、年明けからはシェルター事業を
本格化・拡充させることを予定しています。
これまでもとりわけ首都圏ではお住まいのない状態で生活保護を申請すると、
無料低額宿泊所などに収容されることが事実上強制されてしまうという事態が
ずっと続いていました。しかし、(一部にはよい施設があるのは事実かもしれませんが)
これは健康で文化的な最低限度の生活と言えないようなものも含まれていると同時に、
コロナ禍のなかでは衛生面でも望ましくない事態です。そのため、
〈もやい〉ではプライバシーが確保される個室のシェルターを用意し、
そこからアパートへの転居をサポートしたいと考えています。
さらに、ゆくゆくは行政による支援の仕組みとしてこうした支援を
誰にとっても利用可能なものとしていきたいと考えています。
みなさまの応援をお願いします
以上のような活動を有意義なものとして実施していくためにはさまざまなものが必要になります。
感染症対策を徹底しつつ活動そのものを行うためにはさまざまな費用がかかります。
また、活動を実際に担うのはスタッフだけでなく数多くのボランティアのみなさんです。
さらに、活動が社会的に意味のあるものになるためには、生活にお困りの方、
貧困問題について関心のある方に活動を広く知ってもらう必要があります。
〈もやい〉の活動が現在お困りの方、そして将来制度を利用する方のために
有意義なものとなるよう、みなさまのご支援・ご協力を賜ることができれば幸甚です。(結城)