<最前線で見えるもの>いま、自分たちにできることを(もやい理事・松山晶)

 みなさま、こんにちは。理事の松山です。2007年に〈もやい〉でボランティアを始め、近年は土曜日の新宿・都庁前での相談会で活動しています。いつもは「おもやい通信」の読者なのですが、今日は相談会での様子についてお伝えしたいと思います。

多様な方たちが集まる空間

 食料品の受け渡しが始まる午後2時までの時間、早く到着された方々に声をかけて回っていると、さまざまな方がいらっしゃいます。「初めて来たんですけど、どうしたら…」と心細そうにしている方や「家はあるのだけれど水道が止まってしまって」と話される方。大学生かなという風貌の男性、ウォーカーを押している高齢の女性、小さな子どもと一緒に待っている人。どなたも何らかの事情があることには変わりありませんが、住まいの状況も、年齢や家族構成も異なります。状況の緊急性も人それぞれで、数日間ちゃんと食べられていない方もいれば、「給料日前だけここの食品でつないでいます」という方もいます。

 声をかける際は、基本的に相談会のご案内をしています。でも、「困っている事ことはありませんか」だけでは話もすぐ行き詰まりますし、「人に話しかけられたくない、見られたくない」と感じている方もいるので、根ほり葉ほり事情を伺ったりはしません。「先日スーパーのにんじんが〇〇円してびっくりした」といった話や花粉症のつらさなど会話を交える中で、暮らしや体調について話されることもあります。“普通じゃない”空間だからこそ、なるべく普通に接することを心がけています。

来られる方が増え、長期化する中で

 土曜の都庁前へ来られる方は、持続的に増加し高止まりしています。2022年以降の物価高の影響は明らかですが、週ごとの増減については要因の判断が難しいところです。個々の方の状況も、相談会にいらっしゃれば個別の相談対応が可能ですが、そうでなければ本当は緊急性の高い問題を抱えていたとしても事情がわかりません。同じ場にいながら見えていないこともあると感じています。

 同時に、2020年4月から緊急支援として始めてから3年が経ち、毎週末の活動もだんだんと長期化してきています。「#ともに生き抜く」のスローガンの通り、食と相談できる場所を定期的に確保して命をつなぐ、ということを地道に続けながら、コロナ禍に開始したシェルター事業やCOMPASSプロジェクトのように、活動をアップデートし続けていくことも重要です。〈もやい〉では、社会課題に対する一つの「解」を活動で示しながら、社会や政策に投げかけ、社会的な解決へとつなげていくことを大事にしており、活動をどう展開していくかも日々話し合っています。

どの場面でも大切にしたいこと

 緊急支援が長期化し、より複雑に規模が拡大しながらも、なるべく一人ひとりにとって現場が安全な空間であり、その人の人権や尊厳が守られるようにしたい、というのは私たち共通の思いです。相談会についてわかりやすく情報提供できているか。移動に困難がある人などサポートができているか。目の行き届いていないところで嫌な思いをしている人がいないか—。1つの活動にも多くの要素があり、「人びとを危険にさらさない」「人びとがニーズに応じた支援を、差別なく受けられるようにする」といった **、災害時などの人道支援とも共通する姿勢があります。現実には、すぐには何ともならないことも多いですが、この通信を読まれている皆さまにも支えられながら、自分たちにできることを進めていきたいと思います。(もやい理事・松山晶)

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「支援検索ナビ」と「生活保護申請書作成支援システム」のアプリ、そしてチャット相談を新たに運用しています。
**Sphere Association.「スフィアハンドブック:人道憲章と人道支援に関する最低基準」日本語版、第4版.pp.38-44.東京、2019年.

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