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もやいブログ

2019.4.20

生活相談・支援事業お役立ち情報

生活保護FAQ No.5 ジェネリック医薬品しか処方してもらえないって本当?

生活保護制度を利用していて、ジェネリック医薬品(後発医薬品)しか処方してくれなくて困ったという経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか?ケースワーカーから「ジェネリック医薬品の使用が原則」と言われた方もいらっしゃるかもしれません。これは本当なのでしょうか?またもしジェネリック医薬品が体に合わない時にはどうすればよいのでしょうか?

2018年度の法改正で「原則化」

2018年に生活保護法が改正されました。この改正により様々な点が変更になりましたが、そのうちの1つにジェネリック医薬品使用の原則化があります。実は、2013年の法改正の際にすでに後発医薬品の「使用促進」の方向はすでに打ち出されていたのですが、2018年の改正でこれが「原則」とされました。

法律の条文は次のようになっています(生活保護法第34条第3項、下線部が改正部分):

…医療の給付のうち、医療を担当する医師又は歯科医師が医学的知見に基づき後発医薬品…を使用することができると認めたものについては、原則として、後発医薬品によりその給付を行うものとする。

 絶対にジェネリック医薬品しか認められない?

ジェネリック医薬品の使用が原則化されましたが、それでは先発医薬品を処方してもらうことは絶対にできないのでしょうか?そんなことはありません。先ほどの条文にある通り、医師がジェネリック医薬品を使用しても医学的な見地から問題ないと認めた場合には原則としてジェネリック医薬品により医療扶助の給付を行うとされています。つまり、医師が医学的な見地から「ジェネリック医薬品にするべきではない」と判断している場合は先発医薬品の処方がなされることになります

生活保護法は被保護者の健康的で文化的な最低限度の生活の維持と自立の助長を趣旨とする法律ですので、ジェネリック医薬品に変えたことで体調に悪影響があるようであれば本末転倒です【※】。もし、ジェネリック医薬品に切り替えてから体調が思わしくない、薬が合わないのではないかとお感じになることがあれば、医師に相談してみることをお勧めします。

※なお、NPO法人もやいとしてはジェネリック医薬品の使用原則化自体がおかしなことだと考えています。生活保護を利用しているからといって医薬品の使用についてまで実質的に選択の余地を狭められてよいのでしょうか?政府は「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太の方針2017)で医療全体でのジェネリック医薬品の使用割合を2020年9月までに8割にし、生活保護の医療扶助については2018年度までに8割にすることを目標として立てています。ジェネリック医薬品の原則化はこのような背景のなかで改正に盛り込まれたものであると考えられますが、医療費の削減という目的のために生活保護利用者「だけ」にジェネリック医薬品を原則化するというのは、悪い意味で生活保護を利用している人びとを「特別視」しているのではないかと疑いを持たざるを得ません。

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